DXにより受注生産の日次対応が可能となり、多品種、少量、短納期を実現

 

 

業務改革リーダー

CMFO (Chief Manufacturing Officer)

山口 圭三

 ■「タイムベース競争」を生産現場で実現させたDX変革


i-PROは、中国と福岡2拠点に自社工場があり、総勢約500名の社員が生産に従事しています。「タイムベース競争」という戦略が目指す“お客様への提供価値最大化”の実現のためのトランスフォーメーションは、私達生産現場にとって、単なる生産管理や生産技術の改善のみならず、今までの価値観を根本的に変える事でした。

当社独立以前は、グループ販売会社からの需要予測(3か月先までの事前確定)に基づき月次サイクルで生産計画を立て生産していました。3か月単位で確定される予測は、実績と乖離するリスクが高く、結果的に製品の在庫を保有する事になり、また、お客様からの緊急案件にも対応が困難で、販売機会の損失を招いていました。

i-PROとして独立後、「タイムベース競争」で私たちが目指したのは、多品種、少量、短納期の実現です。そのためには、受注生産を日次でやり切る事が求められ、製品設計の変革(モジュラー設計)と並行し、生産工法を含めた現場マネジメントの刷新が必要でした。独立を期に、システムの自前化と基幹システムがグローバル統合され、変革が加速しました。人の経験値から月次で実施していた需要予測~生産計画作業を、デジタルの力で毎日実施できるようになり、日次計画を実現するための生産技術の改善も突き詰めることができました。この結果、在庫はGlobalでこの2年で50%削減し 、機会損失も同時に激減、製造コストも従来の3分の1を目指せるところまで来ています。

 

■さらなる成長へ向けて、生産のグローバル標準の構導入


現在、より早い進化のため、生産プロセスの再定義とそれを支える新工場システム導入を進行中です。新i-PRO標準生産管理システム(MDP: Manufacturing Digital Platform System)と呼んでいる新プロセスとシステムは、当社の生産のグローバル標準となり、今後生産拠点が増える場合にも適用され、短期間で拠点を立ち上げる事ができます。また、MDP導入により全てのプロセスがデータで繋がる事により、トレーサビリティ強化、さらなる品質強化、作業効率化も実現する予定です。生産拠点のこの取り組みは、お客様への価値提供に直接的に繋がるため、全員で変革に取り組んでいます。